第4回:地域資源の活用方法を考える
次に、掘り起こした地域資源をどのように活用するかを検討します。
地域資源の発掘と活用は決して一元的でなく、視点を変えたりしながら多面的に捉えることで活用の方策が見えてきます。例えば、「杉やヒノキ材は建築材」などと考えているようでは一向に新たな発想は生まれません。地域資源をさまざまな角度から見ていくことで意外な活用方法が見つかります。
当実践塾では、地域ブランド時代の地域振興策として、おおむね次の切り口から検討していきます。
■産業的活用
地域資源を単なる素材として売り出すのではなく、地域に蓄積されてきた技術を活用して新しい特産品を創出したりして、資源そのものの付加価値を高め、地域産業の活性化に大きく貢献していく活用方法です。
■観光的活用
地域資源の観光資源化は、今日、もっとも望まれるもののひとつです。地域にはちょっと手を加えただけでも、それなりの観光資源となるものが必ず存在するはずであり、それには観光の原点をしっかりと捉え、しかも、特定資源を特化させて活用の実効性を持たせていく必要があります。
■文化的活用
日本でも、文化がまちづくりのバロメーターのひとつになってきつつあります。地域固有の文化を認識し、それをまちづくりや産業振興に生かす手法は脚光を浴びてきています。特に文化産業や既存産業の文化化は地域活性化の大きな課題となっています。
■地域イメージアップ活用
地域イメージ形成は地域ブランドの確立にとってもっとも大きな要素のひとつです。地域イメージの良い地域は、結構な価格でも地場産品の売れ行きもよく、観光客も訪れてくれます。そのためにも、地域資源を活用したイメージアップ戦略に取り組む必要があります。
では、上記の活用事例として最適な事例をあげてみましょう。
埼玉県飯能市名栗地区(旧名栗村)にNPO法人名栗カヌー工房がある。理事長の山田直行さんはもともと彫刻家であるが、カヌーの魅力に惹かれて30年、カヌー製作に本格的に取り組んでみたいと名栗村役場(当時)と交渉し、名栗湖のほとりにカヌー工房を開いた平成8年頃からまたたく間に忙しくなった。
当時、地元からの要請もあって、地元の西川材と呼ばれる杉材やヒノキ材を用いてカヌーづくりに挑戦したところ、見事なカヌーに仕上がったことから、名栗村のむらおこし事業として定着するに至ったという。以来、彫刻芸術の制作に取り組むかたわら(というよりも、今ではカヌーづくりの方が本職より儲かるようだが)、西川材という地域資源をカヌーというレジャー産業に活用することで見事に甦らせたのも山田さんだ。
手づくりカヌーに挑戦したい人々が山田さんの指導を請うために全国各地から数多く訪れ、現在では、我が国唯一の地場材利用によるカヌー工房となり、名栗地区の誇る最大の観光資源として注目を浴びることになった。
名栗カヌー工房の生き方は、地場材の活用を図っている点では、まさに「産業的活用」であり、豊かな自然を背景にした手づくりカヌーの魅力に惹かれて、体験者や名栗湖でのカヌー遊びを楽しむ人々が多く訪れている点では「観光的活用」であり、カヌーや彫刻などの文化交流にも大きく貢献していることから「文化的活用」でもあると言えよう。さらに、こうした活動に共感を覚えた船舶研究者としても名高い皇太子殿下が、わざわざ名栗カヌー工房を訪れたことで、地域のステータスも一段と向上したように「地域イメージアップ活用」にも大いに役立っている。つまり、名栗カヌー工房の活動は活用分類のすべてを包含した総合活用事例と言えます。
このように、地域資源を多元的に見ることで、それまで、まったく想像だにしなかった新たなものに変身するのです。
これからの「地域ブランドづくり」には地域が主体となって多様な地域資源を発掘し、それを有効活用することで地域を支える産業を活気づかせ、歴史的・文化的資源、美しい景観や自然環境などを含めた“住んでよく、訪れたくなるような地域づくり”を進めることにあります。
当実践塾では、可能な限り総合活用化を心がけた指導をいたします。
なお、地域資源活用を探る基本の手順は次のようになります。